2024.5.27
【今、「いい風」が吹くまち】京都・岡崎には知れば知るほど住みたくなってしまう引力があるらしい
噂の広まり
「晴れでも雨でも気持ちがいい。それがこのまちのいいところ」。岡崎に暮らす人は、そんな風にこの場所を語ります。
京都屈指の文教エリアである「岡崎」。美術館や平安神宮など、観光で足を運びたいスポットが集まる地域であると同時に、「ずっとこのまちで暮らしたい」と思う人続出の“実力派”な土地でもあるんだとか。
この記事では、地域の基礎知識から、実際にまちに暮らす人が見つけたニッチな魅力まで、岡崎についてとことんご紹介。旅行先を検討している方も、住む場所を探している方も、少しでも「岡崎」が気になっているなら必見の「まちの手引き」をお届けします。
まずはざっくり、岡崎ってこんなまち
「岡崎エリア」ってなに?という方に、まずは岡崎の基礎知識から。「大体知ってるよ!」という方は、ここまで読み飛ばしていただいてもOK。
1.エリア|そもそも、岡崎ってどこ?
京都の中心から鴨川を越えてさらに東へ行くと、美しい東山の山並みが見えてきます。銀閣寺や南禅寺をそのふもとに抱く東山。その手前、左京区の南端、北は丸太町通、南は仁王門通のあいだに位置するのが岡崎エリア。にぎやかなまちからそう遠くはないけれど、この辺りに来ると空が開け景色が一変。もうひとつの京都に出合えます。
ランドマーク・平安神宮のまわりは、京セラ美術館や京都市動物園、ロームシアター京都など文化施設が数多く集まる京都屈指のアート&カルチャーゾーン。モダン建築の宝庫でもあり、まちそのものが美術館、と言っても大げさではありません。
エリアを流れる琵琶湖疏水は豊かな水をたたえ、そのほとりは緑にあふれています。自然美とレトロな建築が絶妙に調和した風景は、このまちならでは。どの季節に歩いても、心地いいんです。
2.歴史|岡崎が今の姿になったわけ
平安貴族の別荘もあった景勝地として古くから親しまれてきた岡崎エリアが、大きく姿を変えたのは明治20年代のこと。
明治維新後の東京遷都により「都」というアイデンティティを失い、京都は衰退していくのでは……そんな空気に新しい息吹を吹き込んだのが岡崎でした。
きっかけのひとつが、平安遷都千百年を記念した第4回内国勧業博覧会(国内版の万博のようなもの)。開催地に選ばれた岡崎は、平安神宮を創建し千年の都の歴史と伝統をアピールすると同時に、産業や文化の発信地としても存在感を増していきました。
博覧会跡地に岡崎公園が開設、京都市美術館、京都市動物園、府立図書館などが次々と作られ、一大カルチャーゾーンとなっていった岡崎。
琵琶湖から水を引く水路・琵琶湖疏水の建設も、同時代に一大事業として行われ、この琵琶湖疏水こそが、京都の産業に近代化をもたらしたと言われています。
明治以降の京都を「かつての都」に終わらせず、「近代都市・京都」として再生させた原動力。東山の山並みを背にレトロなモダン建築が建ち並ぶ岡崎のまちを歩けば、今も「いい風」が吹いていることを感じられるはずです。
3.主要スポット|岡崎の歴史と文化を象徴する場所
■ その1 岡崎公園|広い空の下、思い思いに過ごす“都市の広場”
数々の寺社や美術館などが集まるなかにある、空の広さを感じられる自由でゆるやかな空気感が大きな魅力。散策して自然に触れる、アートや建築を楽しむ、ジョギングやスポーツで体を動かす、ベンチに座っておしゃべり、石畳を歩き思索にふける、芝生でゴロゴロ……。誰もが思い思いに過ごすことができる、まさに「都市の広場」。手づくり市や蚤の市などのイベントも、よく開催されています。
■ その2 京都市京セラ美術館|和と洋、過去と現代が融合した意匠に注目
現存する「国内最古の公立美術館」が、2020年に建築家・青木淳と西澤徹夫によってリニューアル。和洋折衷なモダン建築の意匠を活かしながら、現代的な開かれた空間へと生まれ変わりました。
■ その3 平安神宮|青空に映える朱色は岡崎のシンボル
大鳥居をくぐり、真っ直ぐ歩いた先に見えてくるのは、華やかに彩られた境内。創建は明治なのに、本物の平安京に迷い込んだと錯覚してしまうほどの完璧な異空間に、京都の技術と知の結晶を体感できます。
■ その4 京都国立近代美術館|疏水沿いにたたずむ知的でクールな美術館
平安神宮の参道と琵琶湖疏水に面して建つ京都国立近代美術館。プリツカー賞受賞の槇文彦による建築は、知的でクールなたたずまいで、名建築が多いこのエリアでもひときわ異彩を放っています。館内カフェ「カフェ ド ゴマルゴ (cafe de 505)」は、琵琶湖疏水の景色を楽しめるテラス席がおすすめ。
■ その5 京都府立図書館|クラシカルな洋風建築と吹き抜けの読書空間
大鳥居をくぐると左手にあらわれる日本最初の公立図書館。“関西近代建築の父”武田五一の設計による優雅なファサードが今も残っています。クラシカルな広い窓から館内に差し込む光と巨大な吹き抜けが心地よく、読書体験もひときわ豊かなものに。
■ その6 琵琶湖疏水|いつ、どこを切り取っても絵になる水辺
琵琶湖の水を京都のまちに届ける水路。疏水沿いの桜並木が有名ですが、初夏の新緑、秋の紅葉、冬の澄んだ空気と、どの季節の景色も美しく、ぼんやり眺めるだけで心が整っていくような感覚に。水路閣や水力発電所など、さまざまな作品のロケ地になったレトロなレンガ建築もかわいい。
暮らしてわかる、岡崎の実力
岡崎のことがざっくりわかったところで、より深く地域を知る3人に「あなたにとっての岡崎とは?」を聞いてみました。地元民が日常生活を通じて発見した魅力を余すことなくお届けします。
一人目:【25回目の引っ越しで念願の京都暮らしを実現】堀 香織さん
堀香織さん
岡崎歴:2年(2022年〜2024年)
雑誌『SWITCH』の編集者兼インタビューライターを経て、現在はフリーに。金沢に生まれ、東京、ロンドン、鎌倉などを転々とし、現在の居住地である京都は、人生25回目の引っ越しでたどり着いた「憧れの地」。元々、人と人を繋ぐことが好きで、長年、さまざまな宴会や交流会の幹事を務めてきたが、「自身で人と人をつなぐ“場”をつくりたい」との思いから、今年6月、コワーキングスペースを併設した日本酒サロンを岡崎エリアにオープン。
【堀さん的「岡崎ってこんなまち」】
■ その1|ひらかれた、市民のためのまち
堀さん:京都に住む知人から、「住むなら岡崎がええんちゃう」と言われたんです。それまでは「岡崎」という地域があることすら知らなかったんですが、岡崎からほど近い東山エリアに引っ越してみて「彼女の言う通りだな」と。平安神宮や動物園、京都市京セラ美術館など、有名な観光スポットが集まっていながら、同時に、市民のための場所としてひらかれている地域でもあると感じます。仕事の空き時間に蚤の市をのぞいたり、休日に美術館で気になっていた展示を観たり。哲学の道も、鴨川も歩いていけるので、散歩好きにはたまりません。岡崎で暮らせば、日々の「行きたい場所」には困らないと思います。
堀さん:「勝手の良さ」も住んでわかった魅力のひとつです。烏丸や河原町などの繁華街ド真ん中ではないものの、バス一本でまちなかにも出られて、京阪電車に乗れば大阪にも乗り換えなしで行ける。暮らしやすさとほどよい便利さ。ちょうど良いバランスなんですよね。
■ その2|懐に入れば、人とつながっていけるまち
堀さん:岡崎に限らず、京都全体の話かもしれませんが、こちらに引っ越してきてから、友人がどんどん増えているんです(笑)。
堀さん:京都の人って、排他的なイメージで語られがちじゃないですか。「いけず」とか言われたり。でもそれは、自分が暮らすまちを大切に思う気持ちから、信頼できる人・できない人を慎重に判断しているからなのかなと思うんです。逆に言えば、一度、懐に入れた人には、皆さんとても親身に接してくれる。
堀さん:京都に移住したのは、ちょうどコロナ禍を経てリモートが進んだタイミング。京都の人とつながりを持てたらと、いろいろな飲食店に客やバイトとして通っていたのですが、出会いが加速度的に広がっていったんですよ。「堀さんの活動の力になりそうな人がいるよ」とか「気が合いそうな人がいるから今度会わせるよ」とか。これって東京ではちょっと味わえないスピード感だなと。
堀さん:京都の前に7年住んでいた鎌倉では、東京在住の友人がよく遊びに来てくれて満足していたのもあり、新しい友人というのはそこまでできなかった。でも京都は在住2年ちょいで、鎌倉時代の5倍くらいの友人ができました。だから、私にとって、京都は「友人が増えるまち」(笑)。
堀さん:懐に入るコツ、というとちょっといやらしいですが(笑)、素敵だなと思ったお店には、1ヶ月以内に必ずひとりで再訪しますね。3回行く頃には、店主の方が顔を覚えてくださって、仲良くなれることが多いんです。
■ その3|文化の集積に自然と触れられるまち
堀さん:岡崎を歩いていると「さすがだな」と思うんです。たとえば、京都府立図書館。100年以上前の意匠を残しながら、最新の設備も整っている。すべて潰して新しくしてしまうのではなく、残せるものは残しつつ、新しいものと融合させているところに、京都の価値観を感じます。
堀さん:もうひとつ、カルチャーショックだったのが、ロームシアター京都で能を鑑賞したときのこと。能楽堂より客席数が多いのに、ほぼ満席で、なかには小さなお子さんもいて。日本の古典芸能や文化的なものに幼い頃から自然と触れられる土壌があることを羨ましく思いました。
【堀さんによる、岡崎界隈ピックアップスポット】
■ 刃物研ぎ 常真
古川町商店街の中にある刃物研ぎ専門店。プロ用の料理包丁に限らず、一般家庭の刃物から園芸用の鋏までどんな刃物にも対応してもらえる。料理好きな堀さんの心強い味方。
【堀さんの「岡崎ベストビュー」】
平安神宮の正門である「応天門」を入ってすぐのベンチから眺める風景。人が少ない朝方、腰掛けてぼーっとする時間が好きなんだそう。
二人目:【岡崎のビフォー・アフターを肌で知る建築士】花本 晋さん
花本晋さん
岡崎歴:1年(2005〜2006)と9年(2011〜2020)
S+Architects一級建築士事務所代表(エス アンド アーキテクツ)。大学院生の時、東山二条のハンバーガー店「58DINER」のオープニングスタッフとして店づくりに携わる。卒業を機に同店を離れるも、建築関係の仕事の傍、再びスタッフに復帰。地域の協力のもと、音楽イベント「岡崎ワールドミュージックフェスタ」の運営スタッフをするなど、まちを盛り上げることにも尽力した。アルバイト時代につながった飲食店関係者との縁もあり、独立後は多数の店舗デザインを手がける。音楽好きは今も変わらず、京都メトロなどを中心にテクノDJ SHINとしても活動中。
【花本さん的「岡崎ってこんなまち」】
■ その1|チャレンジを受け入れる素地があるまち
花本さん:僕と岡崎エリアの関わりは、今から20年くらい前、大学院生時代にアメリカンダイナー「58DINER」でアルバイトを始めたことにさかのぼります。川端二条のあたりや疏水沿いなど、今では多くのカフェやレストランがあるエリアも、当時はそこまで賑わっていなかった記憶があります。
花本さん:社会人になって戻ってきたら、少し様子が変わっていて、同世代くらいの人がやっている小さな飲食店が何店舗か出来ていたんです。新しい風を感じる一方で、再開発の一環としてロームシアターの改修工事が始まり、客足が減っていた時期でもあって……。そこで、彼らとなにか地域のお祭りでもできないかという話になったんです。僕も「58DINER」のオーナーも音楽が好きでしたし、「ミニライブなどをやっていたお店も集まっていたことから、「じゃあ、岡崎を音楽の聴こえるまちにしよう」と言って始まったのが「岡崎ワールドミュージックフェスタ(通称・オカフェス)」です。
花本さん:開催に漕ぎ着けるまで、もちろん大変なことはたくさんありましたが、地域の“新参者”だった僕らの呼びかけに、地元の方が応えてくれたのが印象的でした。日の出テントさんがテントを貸してくださったり、飲食店さんが縁日に出店してくださったり。飲食店のパイプ椅子は、「58DINER」のお隣にある「京都市岡崎いきいき市民活動センター」さんに借りて。懐の広さというか、新しいものを受け入れる素地があるまちなんだと感じました。今では僕らの手を離れたオカフェスですが、ワールドワイドな音楽が集まると同時に地元中学のブラスバンド部が演奏を披露していたり、「地元のお祭り」感を残しながら大きくなっているのを見るとうれしくなりますね。
■ その2|再開発で想像以上の進化を遂げたまち
花本さん:再開発でポジティブな変化を遂げたのも、個人的な感動ポイントです。再開発の工事をしているときは、具体的にどんな感じになるのかイメージができませんでしたが、完成度は僕の想像以上でした。特に平安神宮前の車道をなくして広い公園にしたことで、格段に気持ちよく過ごせる場所になりました。
花本さん:ロームシアター京都の改修が終わったタイミングで、本格的に人の流れが変わりました。その頃から個人でやっているような飲食店も増えたように思います。といっても闇雲に数が増えたというのではなく、もともと木屋町などで成功したお店が移転してきたり、新進気鋭の飲食店が新店を出す場所になりました。店舗設計などを手がけるなかでの体感としては「いけてるな」と感じるお店ほど、今はまちなかではなく、このあたりの郊外に出店する流れが続いていますね。
■ その3|人も自然も「ほんまもん」が集まるまち
花本さん:お店も自然も文化も、岡崎には「ほんまもん」が集まっています。アルバイトをしていた「58DINER」では、バンズもソースも手作りのものを提供していました。大人だけでなく子どもにも安心して食べてもらえるものを、という思いがずっとあって、化学調味料を使わないことを徹底していたり。このあたりの飲食店には、個々に大切にしていることがあって、お店の人自身が「ほんまもん」を追求している、そんなところが多いように感じます。
花本さん:それに京セラ美術館や国立近代美術館、細見美術館に行けば素晴らしい美術品があるし、動物園には文字通り、本物の動物たちが暮らしています。府立図書館をはじめ京都を代表するような近代建築もたくさん残っています。少し足を延ばせば南禅寺やインクラインがあって、東山も近い。そういった「ほんまもん」に出会えるのが岡崎の魅力かな。興味を持てばいくらでも深掘りできる文化や歴史があって、興味が尽きないエリアですね。
【花本さんによる、岡崎界隈ピックアップスポット】
■ 58DINER
■ SUiU
花本さんが贈答用にたびたび利用するお気に入りのフラワーショップ「SUiU」。他店では扱っていないような花材を多く取り揃えており、そのハイセンスなアレンジメントに人気が集まっている。
【花本さんの「岡崎ベストビュー」】
疏水沿い、夷川ダム前にあるレンガ造りのベンチで過ごす夏の日暮れが花本さんのイチオシ。ベンチは映画『鴨川ホルモー』にも登場している。
三人目:【岡崎生まれ岡崎育ちのお坊さん 兼 webクリエイター】勤息 義隆さん
勤息 義隆さん
岡崎歴:41年(1982年〜2024年)
東山二条にある大恩寺の次男として、岡崎で生まれ育つ。現在は同寺の副住職を務める傍ら、webクリエイターとしても活動。地元のために貢献したいという思いから、2015年の「岡崎ワールドミュージックフェスタ」で境内を会場として開いたり、消防団員として活動したりと、地域の活動を積極的に盛り上げている。ここ数年はもっぱら朝ラン、トレランにはまっており、岡崎のみならず左京区全域を駆け巡り、自分だけのお気に入りの風景を探すのが日課に。三児の父でもあり、岡崎には親子二代で通うお店も。
【勤息さん的「岡崎ってこんなまち」】
■ その1|暮らし自体がリフレッシュになるまち
勤息さん:岡崎って、四季がわかりやすいんです。春は疏水沿いからずっと桜並木が続きますし、秋は南禅寺や永観堂など紅葉のきれいな場所がたくさんあります。春の早朝、人が少ない時間帯に疏水沿いを走ると、満開の桜をひとりじめしているようで、なんて贅沢な環境だろうとしみじみ思いますね。
勤息さん:副住職の仕事もウェブ制作の仕事も、基本的には在宅ワークというか、実家の寺で行うことが多いですが、この環境のおかげで、暮らしそのものがリフレッシュになっています。「何も考えたくない!」みたいな時は、法然院などの静かなお寺にお邪魔して、心を落ち着けていますね(笑)「今日はアクティブに動こうかな」という日には、大文字山の方まで足を伸ばすこともあります。走っているうちに知らなかった登山道の入り口を見つけたりもして。南禅寺の奥にある「駒ヶ滝」へと続く道を発見した時には、たどり着いた駒ヶ滝の神秘的な雰囲気も相まって、かなり気分が上がりました。
■ その2|はたらく人にもありがたいまち
勤息さん:実家の寺院でのリモートワークが基本ですが、時には打ち合わせなどで、外に出て作業をすることも。最近はPCを開いていても問題ない雰囲気のカフェが増えたこともあって、仕事の打ち合わせがあるときは近くのカフェを利用するようになりました。ロームシアター京都のスタバもいいですが、けっこう混んでいることが多いですね。そこで私がよく利用するのは動物園の北側にある「Dot.S」というカフェです。広くて明るいし入りやすく、打ち合わせに向いています。他にも、二条通にある「TORIBA COFFEE KYOTO」というお店も、落ち着いて話したい時などに重宝していますね。
勤息さん:相手先にうかがうようなシチュエーションでのちょっとした手土産は「ショコラトリーヒサシ」でよく探しています。世界規模のコンテストでの受賞経験もあるシェフのお店で、相手先にも必ず喜んでもらえる、間違いのないお店ですね。
■ その3|暮らせば、特別な場所も身近な存在になるまち
勤息さん:「山本麺蔵」や「グリル小宝」のような人気店「昔は並ばなくても入れたのになあ」と思うこともありますが、お昼時のピークを避けて行けば、意外と早めに入れることも。散歩中、たまたま通りかかったら並んでなかった!というラッキーに出合えることもあります。これは地元民の特権ですね(笑)。
勤息さん:岡崎は「夜」も特別感があります。夜は静かな岡崎エリアですが、寺社の夜間拝観やロームシアターのライトアップなど、夜の散歩が楽しくなる風景がたくさんあります。特に子どもたちが喜んだのが、京都市動物園の夜間開園。昼間は寝ている夜行性の動物たちが動き回っている姿を見られるし、幻想的な雰囲気もあって私たち大人も十分に楽しめるイベントです。
【勤息さんによる、岡崎界隈ピックアップスポット】
・蛸安 岡崎店
平安神宮北側にある「蛸安 岡崎店」のたこ焼きは、外はカリッと、中はふんわり。普段のおやつとして持ち帰ったり、岡崎公園で食べたり、勤息家人気の味。
・Eggs
細見美術館の南にある「Eggs」は勤息さんが子どもの頃よく通っていたクレープ店。昔ながらのシンプルなメニューは子どものお小遣いで買える値段で、勤息家の親子二代にわたるお気に入り。
・東北家
いわゆる町中華のお店が多い東山三条界隈。なかでも地元民に人気なのが「東北家」です。生ビールに餃子かチャーハン、さらにお料理がもう一品ついてくるセットは気軽に一杯やりたいときにぴったり。勤息さんが所属する地域の消防団の集まりもここが定番だそう。
【勤息さんの「岡崎ベストビュー」】
勤息さんがいちばん好きだと語るのは、ロームシアター京都の2階、「京都モダンテラス」のテラス席から望む東山連峰の風景。陽に照らされた峰々が清々しいとか。
まだまだ見つかる!このまちに通う人の「岡崎界隈のイチオシ」
歩く人の数だけ、街の魅力が見えてくる。さらに岡崎を楽しみたいあなたに、岡崎に通う人が教える、唯一無二のイチオシスポットを紹介します。
■ エルラティーノ
紹介者:内藤豪さん(京都市京セラ美術館カフェ「ENFUSE」店長/瓶詰めエスプレッソブランド「エスプレッソリフィル」オーナー)
〈コメント〉
内藤さん:神宮丸太町の雑居ビルの中にある、中南米料理のレストラン。タコスは本場の味を知る人も太鼓判を押す味。900円でコース料理が食べられるのですが、大満足の量が次々に出てきます。近くに京都大学のキャンパスがあるのですが、おそらく大学教授と思われるお客さんでほぼ貸切状態になっていることも。色々なお客さんが集まるお店なので、つい店内の会話に耳を傾けてしまいますね。
■ sibasi
紹介者:牛久保賢二さん(カメラマン)
〈コメント〉
平安神宮の東側、静かな住宅街にたたずむ、カフェともイベントスペースとも異なるオルタナティブな空間です。特に素晴らしいのは、聴こえてくる「音」。畳に座り、真空管オーディオ・システムから流れる音楽に身を委ねてぼーっとする時間は、日々の喧騒をしばし忘れさせてくれます。
■ Max1921 book cafe
紹介者:ポmagazine編集部
〈コメント〉
鴨川にかかる二条大橋の近く、地階に本と映画がぎっしり詰まった書庫をもつブックカフェです。ポーランド料理店でもあり、名作漫画や文学全集、美術書の他、東欧に関する本も充実しています。お店を営むご夫婦の人柄も温かく、ひとりで行っても誰かと訪れても、心地よい時間を過ごすことができるお店です。
本当に住みたくなってしまった人に伝えたい「二拠点目」のススメ
「住めば都」という言葉がありますが、今回、ポmagazine編集部が感じたのは、岡崎はもはや「住む前から都」。まちを歩きながら、この風景が日常になり、帰る場所になったら……と想像せずにはいられませんでした。
そんな岡崎に今年6月、シェアキッチンとセカンドハウスシェアの機能を備えた多目的ビル「amu」が誕生します。
場所は、東山二条の交差点カド。京都の不動産会社である株式会社八清が4階建のビンテージビルを改修した建物で、1階には飲食店、2階にはシェアキッチン、そして、3、4階+屋上がセカンドハウスシェアとなっています。
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【セカンドハウスシェアとは?】
「Sym Turns」というシステムを使い、自宅とは別に新たな拠点を持ちたいと思う方が共同で管理・利用する新しいセカンドハウスです。旅行でも、出張でも、本格移住でもない、新天地での暮らしを可能にします。
→詳しくはこちら
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現在、シェアキッチン・セカンドハウスシェアともに入居者を募集中。「京都で、岡崎で飲食店をやってみたい、暮らしてみたい」という夢をシェアというかたちで叶えてみてはいかがでしょうか。
内装はこんな感じ。
さらに最高なのが、屋上からの眺め。屋上もセカンドハウスシェアの専有となりますので、大文字山と特等席で向かい合うことができます。
暮らしを楽しくする「『きっかけ』をつくる場所」をコンセプトに、岡崎のまちに誕生した「amu」。
誰かと誰か、そして誰かとまちを”編む”場所となり、ここから新しい日常へとつながるきっかけが生まれることを期待しています。
「amu」は現在、見学も受付中。興味がある方は、ぜひこちらから詳細をチェックしてみてください。
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企画編集:光川貴浩、河井冬穂、早志祐美
執筆(順不同、敬称略):河井冬穂、河合篤子、飯田久美子
撮影:牛久保賢二